この写真はタダではないんですよ!

写真関係の友人を中心として私のFacebook上で最近良く見かけたリンクに「This Photograph Is Not Free」という記事があった。
これはカメラマンが直面している風潮にユーモアを込めてチクリと釘を刺している様な記事だった。

大まかな内容はこんな感じ。
「2012年初日の出の写真。これを撮るのにかかったコストは総額6,612ドル。
仕事場から撮影スポット、そして自宅へ帰るのにかかったガソリン代、12ドル。撮影したカメラ本体2500ドル、レンズは1600ドル。フィルター210ドル、アダプター200ドル。三脚130ドル。シャッターリリース60ドル。
自宅に戻ってから写真のデータを取り込んだコンピューターが1200ドル、そして編集に使ったソフト、Lightroomが200ドルでPhotoshopが500ドル。

12+2500+1600+210+200+130+60+1200+200+500= $6,612

もしあなたがこの写真を雑誌、ウェブサイト、会社などでつかいたいのなら、タダで使っていいですか、と私に聞かないでくれ。たとえクレジットとして名前を載せるからと交換条件を付けても同じことだ。
作家、秘書やあなたの上司がタダで働いてくれる訳がない。同様に、だれもこの写真をタダで使わせるカメラマンなんていないんだ。
デジタル写真だからって、写真を作り上げるのはタダな訳ではない。

勿論この写真一枚を作るのに総額6612ドルかかった訳ではない。けれど、ゼロからはじめてこの写真を制作しようとしたらそれだけの費用がかかるということだ。つまり許可無しにこの写真が使われたとしたら、賠償金の金額は6612ドルになるという訳だ。

クレジットとして名前を載せてもらえるからといって写真の使用許可を出したところで、その結果考えられるのは、新たに誰かがあなたの写真をタダで使わせて欲しいと連絡して来ることくらいだろう。
今度レストランでこんなことを試してみたらいい。友人知人にここのサービスがどれだけ素晴らしいか伝えるから、御代をタダにして欲しいとウェイターに頼んでみたらどうだろうか。」

本当にその通り!と大きくうなずいてしまった。

デジタル化したカメラ業界は以前に比べるとコストがかからなくなっただろう、作業が簡略化されただろうと思われているようだ。けれど、現実はその真逆。

まずデジタル化され、機材の費用はかなり増えた。デジタル機材の買い替え周期は3年といわれる。カメラ本体をはじめ、パソコン、モニター、プリンターを3年ごとに買い替えるその費用はフィルムの頃に比べたら破格。フィルム時代は3年といったそんな短期間で毎回機材を買い替える必要なんてなかった。

そして、デジタル化したことで撮影自体が簡略化され、クライアントの方々はフォトグラファーはデジタルのお陰で以前より楽になったと印象を受けるようだ。けれど、クライアントには見えないポストプロダクションに費やすフォトグラファーの時間はフィルム時代に比べたら一体どれだけ増えたのだろうか。

「フォトグラファーは写真を撮る現場だけで仕事をしている訳ではないんですよ〜」とつい心の中でつぶやいてしまう。

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