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写真使用ライセンスの販売

ニューヨークに移り住みはじめて約5年が経ち、ニューヨークの四季の美しさ、厳しさを体感している。個人的には暑さも寒さも苦手なため、両極端なニューヨークの気候は何ともキツい。一方、フォトグラファーとしてはニューヨークの季節の移り変わりを写真に撮ることが出来てなんとも楽しい。
これまで撮ってきたNYの写真の一部を、オンラインポートフォリオのギャラリーで観れるようにしたので是非リンクを参照してもらいたい。
http://www.mihophoto.com/projects/newyork/

こんな風に、これまで撮りためてきた写真は数多くあり、それらの写真使用ライセンスを販売するのも私の仕事の一つだ。依頼を受けてから撮影をすることも勿論あるけれど、例えばニューヨークの四季折々の写真を依頼された時は、こうして既に撮りためたストック写真(wikipediaリンク参照)の中から、クライアントに写真を選んでもらい、写真の使用ライセンスを販売するのだ。

mihophoto_display_002この写真は、私のニューヨークの写真の使用ライセンスをjohn masters organicsさんに販売し、店舗装飾として写真を飾って頂いたケースである。

今回は写真の使用ライセンスについて少し話してみようと思う。

まず著作権について解説すると、写真というのは創作した時点で、自動的にそれを撮った人に著作権が発生する。ちなみに著作権は、原則的として著作者の生存している期間と死後50年間が保護期間だ。
出版社やクライアントがすべての取材費や撮影経費を負担した場合でも、原則として著作権は写真家に帰属する(ただし契約で著作権をクライアントに引き渡している場合などは例外)。出版社や依頼者が撮影に必要な経費の全額負担をしたからといって、別段の契約がない限り、著作権が依頼者側に帰属するということはないのだ。契約書には、その撮影で撮った写真の使用目的、使用期間などを明記し、それら以外での使用については、別途写真家から写真の使用ライセンスを購入するというのが一般的な流れだ。
また、上の写真の様に写真ストックの中から使用ライセンスを購入する場合もある。
写真使用ライセンスの料金は、使用用途、期間、媒体を指定してもらい、その使用に対する写真の使用許諾のことで、使用する媒体や地域、期間、部数などによって料金が決まってくる。

クライアントがフォトグラファーを雇って、依頼した写真を撮りにいってもらう場合は、独自性のある写真を作成できるという利点があるが、写真家による撮影の時間と費用も発生する。また、フォトグラファーは、撮影を依頼された場合、見積りの時点で撮影の内容(日数、撮影カット数、場所など)を聞き撮影費用を見積り、さらにその写真の使用用途に合わせて写真ライセンス料金を見積り、その合算を総費用としてクライアントに提出する。クライアントは、撮影費用を抑えたいか、または撮影する時間的余裕が無い場合、あるいはイメージしている写真を既に写真家がストックしている場合などには、ストック写真をフォトグラファーに提供してもらいライセンスを購入するというのも一つの手段だ。

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この写真はタダではないんですよ!

写真関係の友人を中心として私のFacebook上で最近良く見かけたリンクに「This Photograph Is Not Free」という記事があった。
これはカメラマンが直面している風潮にユーモアを込めてチクリと釘を刺している様な記事だった。

大まかな内容はこんな感じ。
「2012年初日の出の写真。これを撮るのにかかったコストは総額6,612ドル。
仕事場から撮影スポット、そして自宅へ帰るのにかかったガソリン代、12ドル。撮影したカメラ本体2500ドル、レンズは1600ドル。フィルター210ドル、アダプター200ドル。三脚130ドル。シャッターリリース60ドル。
自宅に戻ってから写真のデータを取り込んだコンピューターが1200ドル、そして編集に使ったソフト、Lightroomが200ドルでPhotoshopが500ドル。

12+2500+1600+210+200+130+60+1200+200+500= $6,612

もしあなたがこの写真を雑誌、ウェブサイト、会社などでつかいたいのなら、タダで使っていいですか、と私に聞かないでくれ。たとえクレジットとして名前を載せるからと交換条件を付けても同じことだ。
作家、秘書やあなたの上司がタダで働いてくれる訳がない。同様に、だれもこの写真をタダで使わせるカメラマンなんていないんだ。
デジタル写真だからって、写真を作り上げるのはタダな訳ではない。

勿論この写真一枚を作るのに総額6612ドルかかった訳ではない。けれど、ゼロからはじめてこの写真を制作しようとしたらそれだけの費用がかかるということだ。つまり許可無しにこの写真が使われたとしたら、賠償金の金額は6612ドルになるという訳だ。

クレジットとして名前を載せてもらえるからといって写真の使用許可を出したところで、その結果考えられるのは、新たに誰かがあなたの写真をタダで使わせて欲しいと連絡して来ることくらいだろう。
今度レストランでこんなことを試してみたらいい。友人知人にここのサービスがどれだけ素晴らしいか伝えるから、御代をタダにして欲しいとウェイターに頼んでみたらどうだろうか。」

本当にその通り!と大きくうなずいてしまった。

デジタル化したカメラ業界は以前に比べるとコストがかからなくなっただろう、作業が簡略化されただろうと思われているようだ。けれど、現実はその真逆。

まずデジタル化され、機材の費用はかなり増えた。デジタル機材の買い替え周期は3年といわれる。カメラ本体をはじめ、パソコン、モニター、プリンターを3年ごとに買い替えるその費用はフィルムの頃に比べたら破格。フィルム時代は3年といったそんな短期間で毎回機材を買い替える必要なんてなかった。

そして、デジタル化したことで撮影自体が簡略化され、クライアントの方々はフォトグラファーはデジタルのお陰で以前より楽になったと印象を受けるようだ。けれど、クライアントには見えないポストプロダクションに費やすフォトグラファーの時間はフィルム時代に比べたら一体どれだけ増えたのだろうか。

「フォトグラファーは写真を撮る現場だけで仕事をしている訳ではないんですよ〜」とつい心の中でつぶやいてしまう。